<今後の予定>





<諫干問題で陥りがちな誤解例>

1.「開門したら干拓農地に海水が入る」という誤解。農地は内部堤防で囲まれており、堤防一つで海と向き合っている他の有明海沿岸農地と同条件になるだけ。

2.「開門したら諫早大水害が再来」という誤解。河口堰の諫干では河川洪水を防止できないから、開門しても諫早大水害とは無関係。洪水防止は国交省が実施中の河川整備計画の仕事。

3.「開門したら背後地で湛水被害が増える」という誤解。調整池水位上限を−1mとする開門の第1段階では、湛水はむしろ減少。現在は淡水化維持のため、海域の潮位より調整池水位が20cm上回るまで排水が開始できないが、その制約がとれて直ちに排水が可能になるから。調整池上限水位を−1m以上に上げる場合に備えては、ポンプ場の新増設が必要。

4.「開門したら調整池のヘドロや汚染水が一気に有明海に流出して新たな被害がでる」という誤解。調整池のヘドロや汚染水は、−1mの管理水位維持のため現在でも一方的に排出され続けている。開門とは調整池への海水導入のことで、開門後しばらく経てば海水が水門を出入りするようになる。

5.「段階的開門は海域への影響に懸念があるから」という誤解。一定の濁りがあってこその有明海にその心配はなく、段階的開門を提案した理由は、3年かかるポンプ工事の完成を待たず、工事中でも同時並行で早期の開門が可能になるから。

6.「常時開門とは常時全開のこと」という誤解。常時開門とは、高潮襲来時のような非常時を除いて、いつも開けておくという意味であり、いつも全開とは限らない。漁民側提案の段階的開門の最終段階は、全開と潜り開門を併用した常時開門となる。段階的開門の対立概念は常時開門なのではなく、「いきなり全開」や「制限的開門」である。高裁判決の常時開門とは、段階的開門の最終段階に相当する。

7.「短期開門調査時には湾内漁業に悪影響が出たので国は6千万円の補償をした」という誤解。実際には、短期開門調査の実施年とその翌年は養殖アサリの生残率が向上して漁獲増。例年ならもっと多額の被害が出ている。補償金の支払いは、開門調査に反対する湾内漁協を懐柔し、開門調査による悪影響を喧伝する目的のきわめて政治的なもの。

8.「最高裁は因果関係がないと判断した」という誤解。工事差し止めを命じた佐賀地裁判決を覆した2005年5月の高裁判決に対して、最高裁は「法律違反なし」と認定したに過ぎず、因果関係の判断は行っていない。

9.「排水門の管理は長崎県」という誤解。長崎県が行っている管理は国からの委託業務にすぎず、排水門管理規程の変更権限は国にある。

10.「開門されたら澪筋確保のために又ガタ土浚渫や樋門操作を人力で行わねばならなくなる」という誤解。かつては諫干事業推進のために事業者は意図的に人力での重労働を強いていたが、開門後の浚渫は重機で、樋門操作は農政局が行うことになる。ちなみに佐賀県の樋門はリモートコントロールで操作が可能。

11.「段階的開門でも最後は全開であり被害が起こる」という誤解。いきなりの全開ではなく、それに先立つ第一・第二段階の開門期間中に調整池の水底質は改善され、防災・農業のための準備工事も終了しているので被害は生じない。

12.「潮受堤防の設計上、調整池水位の下限は−1.2m、上限は2.2mである」と主張する長崎県の誤解。上限・下限は内外水位差が約5m未満でないと水圧のアンバランスによって構造上の問題が生じることから言われるもの。たとえば4.9mの高潮襲来時に調整池水位が−1.1mより低い場合が該当(閉め切り直後は−1.0mを下限としていたが、うち続く湛水被害にたまりかねて、−1.1m、−1.2mとなし崩し的に下限を下げる水門操作がなされているのが実態)。しかし常時開門では、潮位の上下に連動して調整池水位も上下するので、内外水位差が大きく隔たることはありえない(その危険性があるのはむしろ閉門中の現在の方)。高潮は数日前から予報可能なので、事前の水位調整は可能であり、実際に昨年からは湛水被害予防のために下限を−1.3mより下げる水門操作が実施されている。−1.2mが下限とする根拠は国と県によって破棄されているのが現実。さらに上限が2.2mというが(全開での開門時でも大潮満潮で2m、そこへ諫早大水害級の豪雨が重なっても2.19mまでしか上昇しないので、端から問題はないのだが)、当初計画での調整池水位は3.17mを予定していた事実を長崎県はどう説明するのか。

13.「漁民は着工前に補償金をもらっているから文句を言う資格はない」という誤解。漁場が全て消滅する潮受堤内8漁協の組合員は、確かに消滅補償を受けているので文句を言う資格はない。しかし堤外4漁協の組合員が受け取った影響補償は「漁獲減は2割だけ、漁家経営は可能」という事業者側の説明が前提。実際は8〜9割減であり、漁民は国に騙されたことに。そうした誤った前提で結ばれた補償契約は無効。



街頭シール投票では、9割を超える市民が開門に賛成(08年10月31日長崎市内で)


<緊急公開>

2003年制作ビデオ「ありあけ いさはや、宝の海のメカニズム」(日本自然保護協会・有明海漁民市民ネットワーク等協力、Sustena制作)曲は小林武史さん、うたはsalyuさん、ギターはミスチル田原さん。ナレーションは、もりばやしみほさん。


<新刊のご案内>

『諫早湾調整池の真実』(高橋 徹編著、堤 裕昭・羽生洋三 共同執筆)
<目次>
はじめに
第1章 有明海異変概説
第2章 諫早湾調整池の実態
第3章 おかしな話
第4章 未来へ
おわりに
かもがわ出版、税込1680円、ISBN 978-4-7803-0362-9 C0060  A5判152頁.


<最近発表の主な漁民ネット文書>

・2011年7月6日 開門アセス準備書素案に対するパブコメ

・週刊農林7月5日号に拙稿「目に余る諫早開門費用の水増し」掲載

・2011年6月10日 アセス素案に対する見解「改めて開門を実施しながらの協議を求める

・2010年12月16日 漁民ネット声明「菅総理大臣の上告見送り表明を評価し、早急な開門協議の開始を要望する

・2010年7月28日漁民ネット作成チラシ「開門に巨費は不要です

・即時開門を可能にする段階的開門法(2010/5/24プレゼン資料)(会場配布資料

・一日も早い開門の実施を求める漁民ネット緊急声明(2010/4/30)

・弁護団・漁民ネット提案の「段階的開門のスキーム」(2010/4/22)

・早期開門を求める大臣宛要望書(2010/4/22)

「早期開門実現のために」(記者説明用資料 2010/4/21)

「理解しがたい長崎県の主張」
(2010/3/29)

長崎県主催12/21東京フォーラムへのコメント(2009/12/27)

「週刊農林」に拙稿「諫早開門の実現を新政権に期待する」掲載(09年12月5日号)

有明海関連の農水省概算要求に対する我々の検討結果(09年11月発行)

開門反対の理由を逐一反論した論点整理のための「諫早湾干拓排水門の開門問題に関する論点」(09年10月発行)

防災を謳った諫干で、なぜ湛水被害が増加したかを解説した「開門を機に森山地区の排水対策の実施を」(09年7月発行)
森山町の湛水被害(09/6/30)

農水省版アセス方法の制度設計の変更を求めたパブコメ「開門調査のための環境アセスメントに係る方法書骨子(素案)への意見」(09年5月13日)

現実的な開門方法を提案した「農業・防災と漁業が両立する早期開門を可能にする 開門方法と環境アセスメント − 2010年5月の開門をめざして ―」と工程表入り要約チラシ。(09年4月発行)

開門の必要性や現実性を説明したパンフレット「今こそ諫早水門の開放を!」の09年度版(09年3月発行)
水門の内はアオコ(上)、外は赤潮(下)

被害の惨状



<アルバム集>

早期開門を求める海上パレード(2010年5月18日)

タイラギ漁で活況を呈する大浦漁港(2010年1月11日)

佐賀県ノリ漁民の海上抗議デモ(2010年1月7日)





<有明海漁民・市民ネットワークとは>
1997年の諫早湾の閉め切りによる諫早干潟の破壊に抗議する東京周辺の市民たちが結成していた諫早干潟緊急救済東京事務所所属の有志メンバーと、2000年度の有明海ノリ色落ち被害問題で諫干に抗議する有明海漁民たちが、相互に手を携えて有明海を再生させようと2001年8月に設立した任意団体。現在の会員は、漁民600名、市民・弁護士・研究者など150名の計750名で、代表者は福岡県のノリ漁民・松藤文豪、事務局は東京。略称を「漁民ネット」という。

<会員募集>
この会は個人参加を原則としています。 有明海沿岸の皆さん、全国の市民・研究者の皆さん、このネットワークに参加し、闘いの輪を広げて下さいますようお願いいたします。

【入会申し込み方法】
下記口座への送金をもって入会申し込みに代えさせていただきます。なお、不明な点等ございましたら、メール(漁民ネット宛メール gyomin-net@goo.jp) にてお問い合わせください。

=口座への送金方法=
郵便局備え付けの郵便振替払込票に下記事項をご記入の上、年会費をお振込みください。
<口座番号> 00120−3−250346
<加入者名> 有明海漁民・市民ネットワーク
*郵便局発行の払込金受領証にて会からの領収書に変えさせていただきます。
<通信欄>に下記事項をご記入ください。
・連絡先住所・氏名(会報の送付先)、(以下は任意)自宅電話番号、FAX番号、メールアドレス、(有明海沿岸漁民の方は)所属漁協名、(NGO所属の方は)NGO名、(研究者の方は)専門分野。
<年会費>漁民1000円、市民3000円 *主に会報誌「漁民ネット通信」印刷・郵送費に当てます。また財政逼迫のためカンパもお寄せいただければ幸いです。

諌早湾干拓の今


諫早湾の潮止め工(1997/4/14)

更新日 2011/07/28
 1997年4月14日に断行された諌早湾の閉め切りで、その名を全国にとどろかせた国営諌早湾干拓事業。海外でもISAHAYAは反環境的蛮行が行われた地として有名ですが、既に2008年4月からは新しい干拓地で営農が開始されています。
 他方1989年の着工や1997年の閉め切りを境に顕在化した有明海異変は、事業完了後の今も終息するどころか、年々ひどくなるばかりです。このため漁業者は困窮を極めて自殺者が後を絶たず、沿岸全体の経済・文化までもが破壊されようとしています。諫早問題は未解決なのです。私たち「有明海漁民・市民ネットワーク」(略称:漁民ネット)は、環境・漁業だけでなく、事業が目的とした防災・農業とも両立できる水門開放を求めて活動中です。
 このサイトでは諫干(いさかん)をめぐる主な動きを随時お伝えしていきます。また特に各分野の研究者やメディアによる事業の多角的な検証が進められることを願って、これまで私どもが入手してきた資料やデータを順次掲載していく予定です。
 左の写真は、毎週数回ずつ繰り返される「毒水」排水の模様。断続的な放流となるため、一般の河口と異なって攪拌に時間を要す。調整池からの有機汚濁物が沈降する堤防前面では貧酸素や硫化水素が発生し、周辺の魚介類を斃死させる。また諌早湾の潮流は、閉め切りで最大30〜90%も鈍化したため、湾に流れ込んでくる栄養塩豊富な筑後川水などに、調整池内赤潮で消化しきれなかった栄養塩も加わって、諫早湾では赤潮が激増。有機物を含む底泥は底層水とともに有明海に輸送され、生態系は悪化の一途を辿り続けている。開門とは、調整池と諌早湾の間に海水を出入りさせること。調整池内の干潟と海域の流動が部分的に回復し、有機汚濁物の生産が抑制されて漁場環境が改善する。

What's New

・7月25日 福岡市内で第6回開門協議会。農水省は原弁団から要求されていた工程表について、長崎県の理解を得るのが困難になるとして標準的な工期すら今は示せないと回答。

・7月20日 佐賀県有明水産振興センターの調査(14日)で、大牟田沖で約半数のタイラギが斃死していることが判明。

・7月8日 6/27小長井・大浦訴訟の長崎地裁判決を不満として、国・漁民原告双方が福岡高裁に控訴。

・7月8日 佐賀県が開門アセスへの意見書を九州農政局に提出。

・7月7日 日弁連が地裁判決を批判する会長談話を発表。

・7月7日 農村振興局斉藤次長らが中村知事らに、6/27長崎地裁判決に関し、開門には反対せず損害賠償部分に対してのみの控訴方針を伝える。

・7月5日 「週刊農林」7月5日号に拙稿「目に余る諫早開門費用の水増し」掲載。

・7月5日 佐賀県議会が段階的開門を求める決議案を全会一致で採択。

・7月5日 長崎地裁での開門阻止訴訟の第1回公判で国は安全な開門は可能として争う姿勢を表明。

・7月3日 原弁団が諫早市内で集会を開き地裁判決を批判(写真右)。

・7月1日 共産党の赤嶺・紙議員、仁比前議員が吉村農村局長に高裁判決の速やかな履行を求める。

・6月30日 国が27日の地裁判決のうち大浦の損害賠償が認められた部分について控訴方針を固める。

・6月29日 原弁団・支援者らが農水省前早朝宣伝行動(国会通信129130131132号)や議員要請行動。

・6月28日 原弁団・支援者らが農水省前早朝宣伝行動(国会通信128号)、国会議員17名が参加しての院内報告集会、議員要請活動。

・6月27日 小長井・大浦訴訟で長崎地裁が大浦漁民への損害賠償を認めるが、「開門しないことが原告らに対する違法な侵害行為とは認められない」とする開門反対派も驚く非常識判決(判決骨子判決要旨)。直ちに弁護団が声明を発表。湾内漁業被害を諫干が原因でないと判断した須田啓之裁判長はかつて福岡法務局訟務部付として国の立場にあった人物。

・6月20日 佐賀・福岡・熊本の3県漁連が全開門を求めていくことを決める。

・6月19日 鹿野農相が長崎県佐世保市で中村知事らにアセスの説明を行うも地元は反発。また同行した筒井副大臣が制限的開門が現実的と示唆。

・6月16日 福岡市内で農水省(矢野課長ら)と行った第5回開門協議の中で原弁団が、工期の明示など8項目を口頭で要請(23日に文書化)。

・6月15日 開門アセスの決定的な難点は、段階的開門の最終段階をアプリオリに全開門のケース1と同一視していること。開門の第1・第2段階で調整池の水底質は改善されるので、第3段階開始時はケース1の開始時と異なる点を無視している。また濁りで漁業に影響ありとする見方も一面的であり、浮泥の多かった諫早湾や有明海の透明度を上げてしまったのは諫干であったが、一定の浮泥(濁り)や島原半島沿い流速の回復(有明海奥部の海水交換の円滑化)の海況や漁業に与える好影響を無視している。1.6m以上で洗掘発生とした室内実験での想定もトートロジーであり、洗掘の根拠なき定義によるもの。まずは含水率50・100・150%の泥の水平・垂直の分布状態を示したうえで、第2段階での現地観測で洗掘の兆候を見ながら許容流速を確定すべき。さらにケース3では開度を90cmに固定している点も問題であり、30・60・120cmやその組み合わせでの調整池水位や流速もシミュレートすべき。常時開門時も全開だけでなく、開度を絞った開門法の組み合わせが検討されていない点も、今までの我々との議論を踏まえていないと言わざるを得ない。

・6月12日 YouTubeに「驚異の蚊柱−諫早湾調整池の知られざる真実−」が投稿される。開門すれば消滅するアオコにもユスリカにも10日公表されたアセスには触れられていない。

・6月12日 古川知事の10日の指摘通り、今年もまた背後地の釜ノ鼻周辺で広範な田畑が湛水(右写真)し、諫干は1年確率の降雨にも対応していない現実が明らかに。この事実は諫干の防災方式が逆効果だったことを示していないか。諫干による増災分と開門に必要なポンプ容量を峻別するには、背後地湛水について、着工前・現況・開門後における同雨量でのシミュレーション比較が必要だが、今回の開門アセスではそうした比較は行われていない。

・6月11日 長崎県中村知事が会見で「開門の方針を見直すべきであり開門協議には応じられない」と述べる。

・6月10日 佐賀県古川知事が「開門と関係なく大雨が降ったり、高潮が起きたりするとあの辺一帯が、農地が水に浸かるという現象が起きているわけですね。ということは、もともと本来、現時点でも排水ポンプをつけなくちゃいけないのではないかというのが私どもの指摘です。それを、今回の開門調査に合わせて、その経費をのせているというのは、それは開門調査、プロパーの経費ではないんではないかというのが私どもの意見なんです。」と指摘。

・6月10日 農水省が開門費用に82〜1077億円を要すとする開門アセス準備書素案を発表したのを受けて、弁護団漁民ネットがそれぞれ声明。7月10日締め切りでパブリックコメント募集が開始されたが、漁業者側・長崎県側双方から反発。

・6月8日 読売新聞九州版が、農水省はアセスで想定してきた3つの開門方法よりもさらに限定的な第4の方法を検討と報道。費用は数十億円程度に抑えられるというが、常時開放を求めた判決との整合性や環境改善効果の限定性が問題となるだろう。

・6月5日 有明海漁民・市民ネットワーク(漁民ネット)が大牟田市で第10回総会を開催。古賀一成・野田国義議員、椛島県議らが参加。

・6月3日 鹿野農相がアセス公表は10日頃と表明。

・6月2日 排水後の諫早湾で有毒赤潮ヘテロシグマが発生。

・6月2日 全国公害被害者総行動デー第2日。農水省前早朝宣伝行動(国会通信127号)など。

・6月1日 全国公害被害者総行動デー第1日。原弁団との面談に応じた筒井副大臣が、(1)アセス素案に300〜1000億円などという数値は書かれていない、(2)長崎県農業振興公社などが提訴した開門阻止訴訟において、国・県・有明訴訟原弁団による三者協議を行う必要がある、(3)福岡高裁の確定判決については、三年後に常時開門状態に出来なくても開門に着手していればよいと解釈していることを言明。

・5月31日 鹿野農相が、アセスは「詰めをしているので公表は6月初旬になる」との見通しを明らかに。

・5月31日 干拓地リース料の10年度滞納が8個人・法人で1635万円だったことが県農業振興公社理事会で明らかに。前年度は15件3000万円だった。また理事長だった中村知事が退任し、田中桂之助副知事が新理事長に就任。

・5月30日 漁民ネットの福岡県漁民有志が、野田国義代議士・椛島徳博県議とともに、半田亮司・県水産局長に小川知事宛の開門要望書を提出。

・5月30日 湾内漁民が即時開門を求めて提訴した訴訟の第3陣の初公判が長崎地裁で行われ、国は6月27日に延期されていた第1陣訴訟判決期日の再延期を求める上申書を提出。他方弁護団は開門阻止訴訟への補助参加を申し立て。

・5月27日 鹿野農相が、アセス発表はサミット出席中の菅総理が帰国後の29日以降になると言明し、28日に予定していた大臣の長崎訪問を延期。

・5月24日 西日本新聞朝刊が、諫干アセス概要が判明したとして対策費に300〜1000億円超と報道。これに対し鹿野農相は、具体的な数値は出ておらず西日は推測記事だとのコメント。

・5月21日 調整池北部水門内にアオコ(神経毒を出すアナベナ属)の発生確認される。

・5月20日 浮遊物による漁業被害に関し、島原市の有明漁協が県に調整池からの排水抑制を要望。

・5月18日 有明海西岸海域に赤潮確認。

・5月15日 佐賀大で日本海洋学会海洋環境問題委員会など主催の公開シンポ「諫早湾開門調査について考える」開催。

・5月12日 数日前から諫早湾内および島原半島沿岸で、浮遊物のために漁網が泥で汚れる被害が深刻に。 

・4月19日 中村長崎県知事が理事長を務める長崎県農業振興公社や干拓農地の入植者ら総勢352人が長崎地裁に開門差し止めを求めて提訴。これに対し有明弁護団が声明「いわゆる開門阻止訴訟の提訴にあたって」を発表。

・4月16日 諫早市で「干潟を守る日in Isahaya」シンポジウム。

・4月14日 97年の閉め切りから14年目の干潟慰霊祭。

・4月13日 弁護団・支援者が農水省前早朝宣伝行動で漁民側提案の開門方法を分かりやすく解説した新パンフレットを配布開始。午後は農水省との第4回開門協議(農水省配付資料)。農水省は、これまで5月のアセス中間報告発表後に検討するとしていた農業・防災の具体策を、中間報告の中で示すことを明らかに。

・4月11日 大浦のアサリ養殖場に、貧酸素頻発海域に発生しやすいというホトトギス貝(写真下)が蔓延。
また小長井・大浦周辺の沿岸には正体不明の海藻(写真下)も繁茂。


・4月8日 国会通信125号126号を議員配布。

・3月29日 開門訴訟で小長井・瑞穂漁協組合員14人が、即時開門を求めて長崎地裁に追加提訴。湾内漁民の原告数は84名に。

・3月28日 長崎県レッドリストが10年ぶりに改訂され、諫干で生息域が失われたシオマネキが絶滅危機TA類に格上げされる。

・3月25日 第12回有明海環境改善連絡協で長崎県は「(有明海の漁獲減には)さまざまな要因がある」と従来主張を繰り返す。主因と見なされる諫干を免罪する根拠にはならない。自らの犯罪を棚に上げて、他人の微罪をあげつらうような態度では、いつまでも問題は解決されない。

・3月25日 中村・長崎県知事が、自らが理事長を務める県農業振興公社が国を相手に開門差し止め訴訟を起こすことを表明。公社は裁判費用を予算化したが、長崎県のなりふり構わぬ異常な政治風土を象徴。

・3月25日 「開門調査を求める市民の会」などが諫早市自治会連合会に対し募金中止を求める申し入れ書を提出。

・3月24日 雲仙市吾妻土地改良区が開門阻止訴訟原告団への参加を決める。

・3月17日 諫早市自治会連合会(芦塚末光会長)が、震災募金・眼鏡橋移設募金と並行して開門阻止提訴募金を実施することを決め、各町内会に集金を依頼。これを受けて町内会は回覧板で募金を集めているといわれ、訴訟費用が含まれているとは知らず、震災募金と説明されて応じた市民も。

・3月16日 新干拓地の営農者でつくる「平成諫早湾干拓土地改良区」(山開博俊理事長)が開門差し止めを求めて国を提訴する方針を決定。判決に従って開門しようとする国の行為が「違法」だとする無謀な訴えを裁判所が認めるわけもなく、提訴を煽る長崎県や西岡議員の見識が疑われる。

・3月14日 長崎地裁が3/29に予定していた判決を国側の要請を認めて6/27に延期決定。弁護団は批判の声明

・3月11日 東北関東大地震発生。

・3月9日 弁護団上京し、議員要請など(国会通信124号)。午後、矢野課長らと第3回開門協議会開かれるも進展なく(農水省提出資料)、3月29日判決は不可避に。

・3月6日 「諫早湾の干潟を守る諫早地区共同センター」などが主催の講演会「排水門、開けたらどうなるシミュレーション」で九大・経塚教授が、潜り開門の手法で早期開門が可能と指摘(レジメ)。

・3月6日 「水門開放問題」のページに農政局による排水拡散調査資料を掲載しました。濁りの沈降後も排水による低塩分水塊は表層を覆い、大量排水時は湾口部底層も塩分低下。

・3月3日 長崎地裁進行協議。弁護団が記者団に即時開門を求めての追加提訴方針を明らかに。

・2月25日 鹿野農相は衆院予算委分科会での赤嶺議員の質問に対し、開門方法や営農対策など開門に向けた具体的協議は、5月にまとめる環境アセスメントの素案を受けて行うと答弁。

・2月25日 諫早湾防災干拓事業推進連絡本部(栗林英雄本部長)が開門差し止め訴訟を準備している背後地の農業者らを支援する新組織「諫早湾干拓事業及び地域住民を守る会」(芦塚末光会長)を設立。県や市もオブザーバーで参加。

・2月23日 農水省で弁護団・支援者と第2回開門協議。農水省側からは筒井副大臣はじめ農村振興局長・次長・課長らが出席。農水省側は、開門準備内容等の具体的議論は開門アセス中間報告が出てからとの方針に拘泥したため、実質協議に入れず。

・2月22日 九州農政局が「海域流動・水質のシミュレーションモデルのプログラム案」を構築し意見募集を開始。数値シミュレーションで開門の効果を予測するものであるが、すでに判決が確定しただけでなく、開門後の流動・水質は実際に開門して調査すれば済むこと。このモデル構築のために開門アセス開始後2年半も費やしてきたが、真に急ぐべきは農業用水の確保や排水機場の建設着手である。

・2月15日 毎日新聞・福岡記者が「調査で門を開けることにすら激しい反対が起きているのも、調査中に劇的な環境改善が進み、再び閉めることなどできなくなるという恐れの裏返しにほかならない。 」と指摘(発信箱:ダムと日本人)。

・2月12日 原弁団が瑞穂町で行った湾内漁業者への報告集会で、県の一方的な言動のために解決の糸口が見えないとして、湾内漁業者から新たに追加提訴の原告を募っていくことに。

・2月11日 週刊金曜日に「農業用水の確保は可能−−開門反対派論拠に疑問符」の記事。

・2月10日 新婦人しんぶん2月10日号に「一日も早い開門こそ農業・漁業・ふるさと再生の道」と題する諫早問題特集。

・2月10日 背後地の諫早干拓土地改良区(高橋徳男会長)が、臨時総代会で開門差し止めの提訴方針を機関決定。開門のための準備工の内容が明らかになっていない段階での提訴決定は、「開門阻止ありき」であり、論拠は後から考えるということ。事業を推進してきたというメンツだけで、農民に不毛な争いを続けさせようとする地元自治体や政治家の責任は重大である。提訴しても既に佐賀地裁・福岡高裁で争われてきた論争の繰り返しとなるに過ぎず、開門が差し止めになることはありえない。長崎県にとっては戦後県政の重要懸案が否定される思いなのだろうが、すでに取り繕う方策はないのだから、潔く政策転換を図るべき。

・2月10日 長崎県が、農林部諫早湾干拓室を4月から課に格上げ。

・2月4日 佐賀県古川知事らが菅首相を表敬訪問し「首相の決定は佐賀県民に希望を与えている」と謝辞。

・2月3日 筒井副大臣が定例会見で、開門協議の具体的進展のためには長崎県側のある程度の理解が必要であり、それにはもう少し時間が必要との認識を示す。

・2月3日 衆院予算委で、公明党遠山議員が首相判断を批判する立場から、民主党大串議員が支持する立場から、それぞれ質問。

・2月1日 弁護団・支援者が議員要請後、午後から農水省(矢野農地資源課課長ら)と開門協議。協議のあり方に関する原弁団側提案を農水省側は持ち帰って検討することに。夕刻には民主党有明海議連との会合。

・2月1日 諫早湾防災干拓事業推進連絡本部(栗林秀雄本部長)が会合を開き、背後地の農家らは常時開門で調整池に海水が導入された場合、農業ができなくなることが予想されるとして開門差し止めを求める訴訟を起こす方針を決定。しかし閉め切り前も海に面していた背後地で、開門によって直ちに農業が出来なくなると言う根拠はなく、提訴の意図は不可解。

・1月31日 1月13日付の県からの公開質問状に対する菅首相からの1月28日付回答書内容が明らかに。「解決の方向性を早急に提示する」ために上告を見送ったが、開門に当たっては開門アセスの結果を踏まえ、「関係者との話し合いを行うとともに、政府一体となって万全の事前対策を講ずる」としているものの、具体策はアセス結果が出ていないことから示されず。県知事はこれに強く反発。

・1月29日 NHK総合テレビで「清算の行方〜諫早湾干拓事業の軌跡〜」が全国放送。環境アセス改ざん問題や住民の分裂を図って事業を強行してきた行政手法に視聴者の批判集中。

・1月28日 諫早市議団有志が開門反対の地域別集会を開始。初日の諫早文化会館に集まった70人の市民から、発言はなかったという。

・1月26日 佐賀県が、開門調査項目や効果的な開門手法を国に提言するため、解析モデルをほぼ完成させる。

・1月25日 長崎地裁進行協議において、判決延期に同意できるか否かは原告・被告間の開門協議の進捗状況いかんと言う弁護団の意向に基づき、2月1日東京で協議開始の方向で日程調整することで同意。

・1月24日 国が、3月29日に設定されていた小長井・大浦訴訟判決(長崎地裁)の延期と他訴訟(小長井第二次・瑞穂・国見)の期日設定に時間的余裕を求める上申書提出。「関係者等との協議や万全の事前対策を円滑に実施するため」というのが理由。

・1月23日 鹿野大臣が、諫早市役所で事前に選別された開門反対派の140名との意見交換会に臨むも、感情的な反発にあって理解を得られず。この中で大臣は、「干拓事業は閉め切りによって流速変化や諫早湾奥部の海域消滅という事実がある。複数の要因の中の一つである可能性は否定できない」と、国として初めて、有明海の漁業に悪影響を及ぼした要因の一つと認める。知事らの反発の理由は、上告見送り前の地元との協議がなかった点とアセスによる具体策の提示がなたった点。事実審理を行わない最高裁制度への無理解(たとえ上告しても判決が覆ることはなく解決の先延ばしでしかない)と、事業(この場合は開門)実施前提で影響の回避軽減策の検討を目的とするアセス制度への無理解(事業の可否を判断するものではない)が背景にありそう。市役所前には「絶対反対」のハチマキ姿の背後地農民300人が取り囲む中、開門を求めてきた原弁団・支援者ら20人が大臣一行にエール(写真左)。両派の直接対峙は、09年4月の開門アセス方法書骨子説明会以来。

・1月23日 弁護団・支援者らが干拓地内外で、早期開門に必要な農業用ため池適地の現地調査(写真右)。

・1月22日 諫早市社会福祉会館で、130名が参加しての防災学習講演会(訴訟を支援する長崎の会などが主催)。講師の筆者は開門による防災への影響は回避軽減策を講じれば現在より防災能力を向上させることが可能、また農業は他の有明海沿岸で営農する農家と同じ条件になるにすぎず、塩害の予防・軽減策もあると指摘(会場配付資料パワーポイントスライド)。参加した諫早市議7名のうち開門反対派は4名。その中の一人の市議は、「講演の主張は理解できるが、背後地に住む住民にとっては開門は心情的に受け入れたくない」と語ったと報道され、感情論による反対でしかないことが垣間見える。諫干事業推進のために、長年にわたり防災機能などに対する地元民の誤解を意図的・積極的に醸成してきた農水省や長崎県の責任は重い。もう行政側が過去の宣伝の誤りを正直に語り始めること以外に、開門反対派住民の理解を得るのは困難であるし、農水省とともに嘘宣伝によって事業を推進してきた長崎県も、被害者を装うのではなく漁業者や県民への加害者であるという自らの立場を弁えるべきである。

・1月20日 11日発生の赤潮(アステリオネラ )が六角川河口以西まで拡大。

・1月19日 鹿野農相が23日に長崎入りへ、知事と協議の予定。

・1月18日 11日に確認された佐賀県南西部の赤潮が、太良沖まで拡大。養殖ノリの早期採摘が呼びかけられている。

・1月13日 長崎県知事、諫早・雲仙市長が、菅首相宛に公開質問状を郵送し1月31日までの回答を求める。

・1月11日 佐賀県の鹿島・白石沖の有明海で、低水温でも増殖する種類の珪藻赤潮が3年連続で発生し、ノリの色落ち始まる。諫干後の潮流鈍化、透明度上昇が要因の根底にあるものと考えられる。

・1月6日 長崎選出の西岡参院議長が菅首相の対応を「ちゃんちゃらおかしい」と批判するとともに、開門反対の訴訟を準備している地元住民を支援する考えを示す。

・1月4日 太良町大浦の竹崎観音寺に伝わる重要無形文化財「修正会鬼祭(しゅしょうえおにまつり)」が1月2・3日に開かれたが、ハイライト「鬼攻め」が、若者不足で3年連続の中止(報道)。

・1月1日 諫早湾干拓事業の前身である長崎南部総合開発事業に係る環境影響評価書を本ホームページ「環境への影響」内に掲載しました。

・12月27日 諫早市議28人が諫早駅頭で開門阻止のビラ配り。いったい反対する理由は、何なのだろうか。また開門反対の立場を取り続けてきた諫早市小長井漁協の新宮組合長が県職員を同席させて全員協議会を招集し、組合として開門差し止め訴訟を起こしたいと提案するも、多数の若手組合員から「開門は必要」との猛反発を受けて方針化できず。

・12月27日 政府は関係府省の初の副大臣級会合を開き、調査実施に反発を強めている長崎県や諫早市に対し、開門に必要な対策事業などをめぐる協議に参加するよう今後も要請していくことで一致。

・12月26日 共同通信社が25・26日に実施した全国電話世論調査で、首相の上告断念と開門調査の方針表明に対して57・5%が評価し、評価しないは29・5%。

・12月24日 閣議決定された来年度政府予算案に、諫早湾干拓・有明海関係事業(環境アセスの着実な実施と有明海再生の取組の推進)費用として、開門準備費4億円を含む12億円が盛り込まれる。

・12月24日 朝日新聞「声」欄に、諫早湾を「海の畑」に戻そうと題する銀座日本料理組合理事の投書が、長崎新聞「声」欄に、判決への反発根拠説明せよと題する長崎大学名誉教授の投書が掲載される。

・12月23日 民主党長崎県連が諫干対策本部(本部長に山田前農相)を設置。開門反対派と連携して開門差し止め訴訟支援も。

・12月22日 長崎県島原市有明漁協の臨時総会で、新理事に選出された11人中7人が開門訴訟原告が占めることに。新組合長には漁民ネット世話人でもある松本正明氏が選出され、今後は漁協あげて早期開門実現に取り組んでいくことに。

・12月21日 午前0時に高裁判決が確定し、遅くとも3年以内に常時開門されることが決定。この日は奇しくも1997年4月14日の閉め切りから数えてちょうど5000日目に当たる。農水省が段階的開門を想定していたのであれば、前倒しで制限的開門に着手し、3年後までに常時開門(高潮時以外はいつも開けておくことであり、常時全開である必要はない)に移行すればよいことになる。準備工が高くつくいきなりの常時全開開門法を採用しない以上は、制限的開門からの前倒し実施は不可避である。

・12月20日 中村知事らが菅首相に上告を要請するも物別れ。首相は開門調査に必要な対策工事については、長崎県や訴訟原告団と協議する意向を示す。政府と県の会談時、首相官邸前にはハチマキ姿の諫早市議団や農民など20人が集まり気勢。またこれより先、長崎県議会本会議終了後の議場内は、ハチマキ姿の自民党や公明党会派の県議25人がシュプレヒコールを発するという前代未聞の出来事も。

・12月19日 毎日新聞社が18・19日実施した全国世論調査で、上告を断念し、開門調査に踏み切る方針を表明した菅首相の判断を評価するが59%、評価しないは30%。

・12月18日 ラムサール条約事務局公認のメーリングリストや韓国国内でもISAHAYA開門決定のニュースが大きな話題に。

・12月18日 中村知事が営農者らの法的措置支援を表明するとともに、県100%出資の農業振興公社(理事長は中村知事)が原告となる提訴も検討すると表明。長崎県干拓室は干拓地の営農者らを対象に開門した場合の補償などについての法律相談会を開催。

・12月17日 中村県知事は、国が上告しない限り農相と会う意志はないとして、この日の農水省からの大臣訪問の打診にも再度の拒否回答。また地元が訴訟による開門差し止めを検討していることを受け、県も法的な問題を検討して相談に応じ、支援する考えを示す。他方、鹿野農相は閣議後の会見で「今後、営農や漁業、防災対策に万全を期すことが必要で、農水省の予算では限界がある、政府全体として予算措置に取り組んでいく」と表明。

・12月17日 菅内閣が開門見送り方針を閣僚懇で確認。衆院議員会館では、原弁団主催の院内集会が開催される。仙谷官房長官は閣議後会見で、開門時の農業・漁業被害や災害の防止策などを検討する副大臣級会合を近く設置する意向を明らかに。また農相は「開門の方法、時期、期間は関係者と協議が必要」と語る。

・12月16日 有明海漁民・市民ネットワークが、上告見送り方針を歓迎する声明を発表(長崎新聞佐賀新聞)。農水省前早朝宣伝行動(国会通信123号)に引き続いて、議員への集会案内と早期の開門協議会設置を求めた座り込み、さらに昼休み中に行われた農水省前緊急集会には国会議員も次々と祝福に駆けつけ、漁業者と喜び合う(写真右)。

・12月16日 長崎県中村知事が、鹿野農相がこの日に予定していた長崎訪問を拒否し、法的手段で対抗することを示唆。他方、農水省は他の訴訟について和解の検討を開始すると伝えられる。弁護団も、今後の開門協議の進捗状況次第では残りの提訴取り下げの可能性に言及。

・12月15日 WWFジャパンが、声明「諫早水門の開門決定によせて」を発表。

・12月15日 菅首相・仙谷官房長官・鹿野農相の三者会談で上告見送りを決定し、菅首相が「「開門により海をきれいにしていこうという高裁の判断は重いものがある」「農漁業・防災対策にも万全の措置を講ずるよう指示した」と記者団に語る。農水省前で座り込み中の支援者らから歓声。これを受けて弁護団が「上告断念の政治決断を受けて」と題する声明を発表。

・12月15日 根拠のない憶測やリーク記事が氾濫していることに対し、弁護団が「諍いを終結するための鍵は上告断念と開門協議である」とする見解を発表。なお農水省が「開門調査はするが判決は受け入れず上告する」とする報告書をまとめていたことも報道で明らかに。

・12月15日 農水省前早朝宣伝行動(国会通信122号)に引き続いて座り込み(写真左)。

・12月14日 ラムサール・ネットワーク日本など環境保護4団体が、開門による生物多様性回復を求める緊急共同声明を発表。

・12月14日 佐賀・福岡・熊本県選出の民主党議員でつくる「有明海の再生を考える議員の会」が、上告を断念し、一刻も早く開門調査を行うよう鹿野道彦農相に要請。

・12月14日 支援者らが農水省前早朝宣伝行動(国会通信121号)に続いて上告断念を求めて座り込み。

・12月13日 原弁団・支援者らが、この日から連日の農水省前早朝宣伝行動(国会通信118号119号120号)と上告断念を求めての座り込みを開始。午後は議員要請行動。「上告・2012年度開門」という農水官僚のリーク情報が、あたかも政府方針かのごとき誤報道が相次ぐ。しかも諸報道は段階的開門があたかも高裁判決と異なるかのごとき前提で書いている点でも二重の間違いを犯している。

・12月12日 諌早で諫早湾防災干拓事業推進連絡本部主催の開門反対集会。主催者発表2500人だが実際は700人ほど(写真)。国会議員の出席も10人中3名、出席県議12名中民主党1名だけで、従来の集会とは様子が異なる。中村知事は挨拶の中で「この事業で一切の湛水を防ぐというものではなかった」と述べ、防災機能は限定的とした高裁判断を事実上追認。しかし「最高裁でも因果関係は否定された」という発言は事実誤認(弁護団作成参考文書)。

・12月11日 弁護団が見解「上告は百害あって一利なし」を発表し、開門をめぐる長年の諍いに終止符を打つよう国に呼び掛ける。また、よみがえれ!有明訴訟を支援する長崎の会が緊急集会を開催し、130名の参加者からは「開門協議会の合意で即時開門を」の声相次ぐ。

・12月10日 弁護団が国会通信115号116号117号判決解説その2を発表。

・12月9日 非公開で開かれた民主党政策調査会の農林水産部門会議で「上告やむなし」論が示され、同席した農水省松木政務官も容認(報道)。先延ばしはもうたくさんだ。日一日と有明海の生態系と漁業者の生活が破壊されている現実を知って欲しい。まずは開門準備の指示が先だ。今度の上告の口実は来春のアセス中間報告を見てから開門の可否を判断したいから、上告は20日期限なので、とりあえず上告しておこうというもののようである。しかしこれは法律的に上告の条件を満たす理由ではないから、法務省と相談して他の法的理由を探し出すつもりなのであろう。3月の長崎地裁判決でも漁民側の勝訴は確実だが、それにも控訴すると決めたと同じである。部門会議メンバーや政務三役が官僚からいかなるレクを受けているのか知るよしもないが、この2年来、私たちは官僚から「開門アセスの目的は、開門の可否を判断するためではなく、開門を前提としてその影響の回避軽減策を策定することです。アセスの前であろうと開門の政治判断がなされ、大臣からご指示があれば私どもはそれに従うだけです」という説明を受けてきている。だから私たちは、判決前の政治決断を強く求めてきたのであって、事ここに至っての上告など絶対に許されるものではない。段階的開門法を採用し、まず短期開門時と同様の方法から開始すれば、アセスを待つまでもなく技術的にいつでも可能なのだから官僚にだまされないで欲しいと再三陳情してきたが、政治家はやはり官僚しか信用しないのか。農水省のメンツ保持のためにまた長期間漁民を苦しめることに政治家の良心は痛まないのか。自民党政権下で多くの自殺者まで出した漁業者に対して同情と理解を示していた民主党は、やはり自民党化してしまうのか。私たちは心底怒っており、上告阻止のため来週1週間は全力で闘うことをここに宣言しておく。

・12月8日 長崎県・佐賀県知事らがそれぞれ、上告や早期開門を農相などに要請。また両県議会も上告を求める意見書と早期開門を求める決議をそれぞれ可決したが、佐賀は全会一致に対し長崎では反対議員4名。

・12月8日 農水省は開門表明を行うとともに上告の方針との報道相次ぐ。上告の理由は、開門方法の検討時間確保とか、農水省が考える開門方法が高裁判決と違うから(実際は高裁が命じた常時開門とは常時全開とは限らないのだから、段階的開門も判決に従った開門方法である)とか、5年間という期間に従えないとか報道により異なり、上告ありきで理由は後から考えるという姿が浮き彫りに。いずれにせよ憲法判断、判例・法律解釈問題のいずれにも該当しないこれら理由では、上告理由にはなりえない。これに対し弁護団は、漁民側との開門協議を改めて求める弁護団見解を発表。

・12月7日 ラジオ番組に出演した郡司前副大臣が、水門の管理権は長崎県に移っており、長崎の合意なしに開門は不可能だが、20日までに合意を得るのは困難なので上告せざるを得ないのではないかと語る。しかし実際には、堤防や水門の所有権・管理権は現在でも国にあり、長崎県には水門操作の運用を業務委託しているにすぎない関係なのだから、開門のための排水門管理規程の改定は国だけで行えることであり、長崎県との合意のための時間不足などは上告の理由にはなりえないし、法律論的には門前払いものと言うほかない。

・12月7日 原弁団・支援者らが農水省前早朝宣伝行動(国会通信111112113114号)に続き、上告断念を求めて農水省前座り込み集会(写真右)。衆院議員会館での院内集会(写真)には、民主・自民・公明・共産・社民の各党から議員本人が参加し、上告を示唆する農水省を批判。その後、共産(写真)・民主(写真)・社民(写真)各党議員と面談。

・12月6日 福岡高裁(古賀寛裁判長)は、諫干事業と漁業被害の間に因果関係を認め、佐賀地裁判決よりもさらに多くの漁民の被害を認定して、3年の準備後5年間にわたる開門を命ずる判決(判決骨子判決要旨判決本文)をくだす。長崎県・中村知事は上告を求める意向を示したが、政府は上告せずに、3月の長崎地裁判決も見通して、直ちに開門方針を正式決定し、具体的な開門方法や時期について漁業者側との協議に応ずるべきだ(弁護団声明国会通信110号)。弁護団は直ちに首相官邸と農水省に要請書を提出。社民党が重野幹事長談話を発表。なお公金支出差し止め訴訟については住民側の控訴が棄却される(判決骨子判決要旨)。

・12月1日 有明海タイラギ漁解禁。主力の佐賀県沖合は今夏の貧酸素で全滅のため、大牟田沖での漁となったが、身は小振り。行商の値段は初日こそ100g1000円だったが二日目は500円に暴落。なお諫早湾は18年連続の休漁。

・11月27日 日本生態学会、日本魚類学会、日本ベントス学会、軟体動物多様性学会保全委員会の4学会共催シンポ「有明海の特異な生物相ー諌早湾の環境復元の意義ー」が開かれ、長期開門を求める声相次ぐ。

・11月25日 参院農水委において「高裁判決前に開門の政治判断を」と迫る福岡資麿議員(自民)に対し、鹿野農相は「高裁判決とは別に判断する」として、政治決断の先送りを表明。また筒井副大臣も定例記者会見で、佐賀地裁判決と大筋変わらない高裁判決が仮に出た場合は、「上告の可能性が高い」と発言。開門前提での対策を実施するとしていた政策集INDEX2009や「開門が至当」とした政府与党検討委の答申は無視された形に。政務三役になると前言を翻す議員が各省で続発しているが、その背景にはいったい何があるのか。勉強不足の政治家が官僚レクに騙されているだけとも思えない。

・11月25日 有明海を定期的に調査してきた研究者グループが「短期開門調査後、海底動物が4倍に」と発表(報道)。

・11月24日 長崎県は10月22日付長崎新聞紙上に「開門調査をすれば影響が心配」とする広告を掲載し、その中で「ノリの生産量は増加傾向」とする一方的な宣伝を行った。生産枚数が増加傾向にあるのは、2001年から漁期を2ヶ月間延長しているからに他ならず、このため単価の減少によって生産額は横ばい・労働時間と経費は増加・所得は減少しているのが現実である。県民に誤解を与える恣意的な宣伝は、これを訂正するよう要求したい。

・11月20日 佐賀市で行われた有明海再生機構主催シンポ「第4回有明海のなぜ」でコンサルタント会社実施の貧酸素発生経過のシミュレーションが発表される。

・11月17日 農水省から干拓地における取水実績データが開示される。計画量の330万トンに対し、実績は08年度23.4万トン、09年度41.8万トン、10年度も現在のペースでいけば25万トン程度の見込みであり、計画量がいかに過大かは明らか。処理水の再利用やため池で十分に賄えるから広大な調整池を淡水化しておく必要はないのである。万が一渇水が続いて計画量330万トンが必要になれば、塩分の高い調整池水は農業に使えず、開門の有無に関わらず水不足になる。渇水年の水不足を理由に開門を拒否する長崎県の論理に根拠はない。

・11月15日 公害被害者総行動デーの一環として原弁団・支援者が上京し、農水省前早朝宣伝行動(国会通信109号)、近藤昭一環境副大臣要請、筒井信隆農水副大臣要請(要請資料、写真右)などの諸行動。

・11月12日 塚原博・九大名誉教授(88歳)死去。氏は、南総と諌干の漁業影響調査検討委員会や環境影響評価委員会の委員長、諌干調整池等水質委員会や開門総合調査運営会議座長などを歴任して、事業推進御用学者の代表格と目されてきただけでなく、和白干潟や中津干潟に影響する九州各地の数多くの開発事業にも関わってきた。

・11月6日 宮本・諌早市長が民主党長崎県連に開門反対などを政策提言したのに対し、福田衣里子衆院議員が「開門には対策工事など多額の経費がかかり、防災への干拓地周辺住民の不安もある。現時点では好ましくない」との見解を示す。防災への不安はポンプ設置で解消されるが、アオコ毒の不安は開門以外に解消する手段がないことを知るべきだ。

・11月5日 諌早湾のタイラギ漁、工事中の1993年から18年連続休漁へ。7月以降に減少していることからも貧酸素による斃死と推認される。

・11月4日 内閣府が募集していた「国民の声」諌干開門の提案

・11月4日 有明海タイラギ生息調査で漁獲可能海域は大牟田沖のみと判明。

10月28日 弁護団・支援者が農水省前早朝ビラまき(国会通信108号)、議員面談、農水省ヒアリング。ヒアリングでは事前に提出済みの質問に対し、巷間言われる開門費用630億円は平成15年度試算のものであり、開門方法によっては費用も減額可能であって、長崎県の言う680億円や山田前農相が言及したポンプ費用4〜500億円という数値は農水省として関知していないと言明。また干拓地営農状況は「個人情報に関わることから調査をしていない」と述べ、議員から「2500億円もの税金を投入した事業の事後評価をないがしろにするのか」と批判される。

・10月24日 CBD-COP10開催中の名古屋で、ラムサールネットワーク日本と世界湿地ネットワークがフォーラムを開催し、諫早などの湿地保全が生物多様性保全に不可欠と確認。

・10月23日 諫早市で堤教授を講師に赤潮学習会。

・10月22日 週刊金曜日にルポライター永尾俊彦氏の「もう限界です−有毒アオコで漁民らが開門調査要求へ」掲載。

・10月22日 CBD-COP10 交流会場で「日韓を中心とした湿地と生物多様性に関するホットイシュー」フォーラムが開かれ、弁護士・漁民から即時開門の訴え。

・10月22日 民主党国会議員らでつくる「有明海の再生を考える議員の会」が鹿野農林水産相を訪れ、国営諌早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の一刻も早い開門調査の実施を求める。

・10月19日 佐賀市アバンセで高橋教授によるアオコ問題学習会。

・10月18日 生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)が名古屋国際会議場で開幕。開門して諫早干潟を再生させ生物多様性の回復を図ることによって、議長国としての姿勢を世界にアピールすべき。

・10月15日 長崎県は県民だより(本年6月発行)において、「干拓農地では、干ばつ時には一日最大二万一千八百トンの大量の水が必要だが、本明川の水量は少なく、近くの下水処理水は一日六千トンしかないから調整池以外に農業用水は確保できない」旨主張している。しかし現在干拓地で利用されている水は実際には本明川河口水と下水処理放流水であって調整池水ではない。しかも、いざ干ばつ時に調整池水を使おうとしても、それは農業に適さない高塩分水であって、開門してもしなくても干ばつ時には同じ水不足に陥ることは明らかである。長崎県は渇水時に21800トンの水をどこから手当てする計画なのか、干拓地農家や県民に明らかにする責務がある。開門に備えて処理場と配管で結んでおけば、6000トンが得られるが、開門しない場合は得られる水は0である。しかも現在の利用実績量は日平均800トンであり(6000トンの放流水で有り余る)、21800トンという数値自体が過大である。農業用水に使えない調整池水を淡水化しておくべき理由はないのである。

・10月13日 排水門操作実績データ増補版(97/4/14〜10/9/29)を本ホームページに掲載。排水門管理規程に定める内外水位差20センチ以上から排水開始の規則は実際には殆ど守られておらず、これが調整池塩分が高い原因の一つとも考えられる。しかし大雨時にこの規則を遵守すれば、背後地湛水被害は更に悪化するから、まさに二律背反である。

・10月11日 長崎市内で開催された「リアリズム写真集団」の展示会に黒崎晴生氏の詩「海を奪いしものへ」が掲示。

・10月10日 山田前農相が、「防災面と農業用水の確保にかなりの予算が必要になる。それに見合う効果があるのか」、 防災工事に「少なくとも400億〜500億円が必要」との見通しを示したと報じられる。常時開門で必要な常時排水機能に見合うポンプは、以前の農水省の試算(平成15年度諫早湾干拓事業背後地排水その他検討業務報告書)では毎秒11.4トン・17.8億円(諫干で失われた非常時排水機能分を加えて過大ながらも155.5トン・200億円) だったが、今回はどういう計算で400〜500億円としたのか、早急に公開すべきだ。諫干の代わりに本来的に必要だった防災対策を、(諫干では逆効果だったからその帳消しも兼ねて)「開門調査」を口実に実施しようということであれば、まさしく盗人猛々しいと言わねばならない。具体的な費用まで出ているということはアセス結果は既に判明しているはずだから、素案発表を来春まで引き延ばす必要はない。また「それに見合う効果」には何が入っているのかも問題。再生されることが確実な干潟・浅海域・諌早湾の経済的価値を正当に評価しているのか。有明海については両論あって不明だからこその「開門調査」のはずであり、有明海への開門の効果なしとする農水省版シミュレーションに盲従する議員が政治主導を発揮できるわけがない。

・10月7日 ジャーナリスト・江川紹子氏のツイッター上での発言「「私がもし総理だったら、まず長崎県に飛んであの諫早湾の水門ぐらい開けますよ。そして海の水を干潟に戻しますよ」(01年7月19日の菅直人氏演説より) RT @47news 諫早の即時開門決断を都内で要請 訴訟原告団 http://bit.ly/9FClQq」が反響を呼び、その後数日間にわたりネット上でリツィートが繰り返される。

・10月7日 原弁団・支援者が農水省前早朝宣伝行動(国会通信107号)、農水省交渉(要請書、右写真)、議員要請。夕刻の院内集会には10名の国会議員が参加。

・10月4日 長崎地裁、小長井・大浦訴訟結審し3月29日判決へ。来年5月のアセス中間報告前に民主党は否応なく政治判断を迫られることに。判決に促されての開門決断では、政権交代の意味はなかったことになる。政府には政治主導の即時開門が求められている。短期開門調査前の自民党政権は、長崎県説得のために政務官を何度も派遣したが、官主導の民主党はそうした労もとらずにだらだらと判断を先送りするつもりか。

・10月3日 長崎市内で「即時開門を実現する全国総決起集会」。

・10月1日 国会通信106号発行配布。

・9月30日 古川・佐賀県知事が、鹿野農相に早期開門を要請。

・9月21日 鹿野新大臣が報道機関のインタビューで、開門調査実施の判断は「アセス後」と表明。事の急迫性をご存知なのか、またアセス前に出る判決にどう対処するおつもりなのか。役人からのレクだけで当事者の意見も聴かぬままとは、何とも理解に苦しむ拙速な表明である。

・9月17日 諫早湾内のタイラギ調査で、春先に確認されていた成貝が殆ど見つからず、18年連続の休漁へ。9月上旬まで続いた貧酸素の影響と見られるが、開門すれば湾内の貧酸素は発生しなくなると期待されている。

・9月17日 菅改造内閣で、山田農相に代わり鹿野道彦議員(山形1区)が新農相に。就任会見で「(政府、与党の)検討委員会が4月に出した結果を精査して、関係者の話も聞かないと、今この時点で判断はできない」と述べる。

・9月17日 長崎県は県議会の質疑において、諫干農地リース料滞納問題で保証人確保などを検討する意向を示す。

・9月13日  小長井・大浦裁判で弁護団が、漁民側主張の集大成となる最終準備書面を提出。

・9月10日 即時開門を求めて4県漁民1200人が漁船300隻でが海上デモンストレーション(写真ビデオ)。鹿島市漁協などの女性部も陸上から要請書読み上げ。

・9月8日 4県漁民20名が諌早湾干拓営農支援センターを訪れ、長崎県の担当者に協議会発足などを要望。

・9月7日 長崎県がホームページに諫干のプロパガンダ「Q&A」や動画を掲載。堆積するガタ土の除去作業を住民に押しつける一方、本来行政が果たすべき重機浚渫を怠ったために水害を招いていた事実を隠し、降雨の際は水位が上昇する事実を隠して「調整池の水位を標高マイナス1mに保ち」としたり、小規模地先単式干拓と大規模複式干拓を同列に扱うなど、県民を欺くレトリックに充ち満ちている。

・8月30日 政府与党検討委(座長:郡司副大臣)が4ヶ月ぶりに開かれ、農水省は、開門費用ではなく開門準備費用として4億円を概算要求に盛り込むと説明。

・8月26日 弁護団・漁民ネットが対農水省交渉(要請書)、議員面談(国会通信104号105号)。

・8月25日 調整池内にアオコの発生が確認される。

・8月19日 佐賀県有明水産振興センターの調査で、タイラギの大量死の広がりが止まったことが明らかに。8月10日の大潮で貧酸素が一時的に解消したためと見られるが、現在は貧酸素復活の兆候があり予断は許されない。

・8月16日 佐賀有明の会が川崎稔参院議員に早期開門を要請。

・8月13日 「今は概算要求に集中して4県訪問は9月」と明言していた山田農相が雲仙市を訪れ、シャットネラ赤潮被害に対する財政支援に前向き姿勢を示すも、開門という抜本対策には触れず。山田議員は、総選挙前の新聞社アンケートに開門賛成と回答していたが、単なるポーズだった模様。政治家不信が増すばかりである。

・8月12日 諫干農地に入植した41経営体の内、09年度にリース料を滞納したのが15経営体、3千万円に上っていたことが明らかに。08年度の滞納は4経営体1332万円だった。

・8月9日 福岡高裁控訴審(3年間の準備後の開門命令・公金支出問題)が結審。判決は12月6日。なお長崎地裁訴訟(即時開門問題)も年内結審、年度内判決の見通しだが、いずれかで国が負けた場合は、政策集で開門を約束した民主党政権が、公約を反故にしての開門拒否を意味する上告(または控訴)を選択するのか否かの政治判断を迫られることになるが、その時期は来春4〜5月のアセス準備書中間報告が出る前となることが確定したことになる。民主党にとっては、判決で追い込まれての政治判断よりは、早期の電撃的判断こそが、支持率を回復させる最善の方法となろう。また今月末の概算要求には、いつでも開門できるよう予算措置を施しておくのが、行政の責務である。

・8月6日 佐賀県知事が農相に、開門を即時判断するよう要請。農相は費用と効果の問題を理由に判断時期を示さず。これは中長期開門調査検討会議の報告を受けた当時の亀井農相が、開門見送りを決めた時の論理・筋道と同じだ。数百億円の費用は「いきなり全開」を想定した過大算定であり、段階的開門なら数十億円で済む事実を大臣は知らされていない。開門初年度は、「開門アセス」費用と変わらぬ額で開門を実施できるのだ。また開門の効果があるかどうかは、事前のシミュレーションでは完全に予測できないからこそ、実際に開けての「開門調査」なのだということ、国は司法から開門を命じられている立場であること、を大臣は弁えるべきだ。そんな当たらない予測のために、判断時期の来春以降への引き延ばしを示唆する農相は、官僚の情報操作に操られている。農相は即時判断して、今月末の概算要求に開門費用を計上すべきだ。

・8月4日 太良町と鹿島市沖の漁場で、7月下旬からの貧酸素によるタイラギの大量死が確認される。佐賀県では6調査地点のうち5地点で全滅、大牟田市沖は生残しているものの生育不良。

・8月3日 沖縄市が7月30日に発表したばかりの泡瀬干潟埋め立て計画案に対し、前原・沖縄担当相が埋め立て反対の政党や住民の意見も聴かぬまま了承。諫早を教訓としない民主党政権の限界を露呈。

・7月29日 山田農相が記者会見で、来年5月まで判断の先延ばしもあり得るとの認識を示す。

・7月28日 弁護団・漁民ネットが議員面談(国会通信102号103号)や農水省交渉(要請書)。農水省担当者は、アセスは開門の可否を判断するためのものではなく、あくまでも影響の回避・軽減策の検討が目的として、アセス終了前に政治判断で開門の是非が決定されることもありうるとの認識を示す。しかし他方では、水源やポンプはアセスと切り離さず、その中で検討し、その終了後に長崎県に説明を開始すると言うのだから、どうしても早期の問題解決は不可能な仕組みにされている。官僚の政治家に対するまさに面従腹背である。臨時的ため池の設置と上限−1m管理の継続を条件とするなら即時の制限的開門も可能なのに、農水省官僚は政務三役からアセスと切り離しての即時開門に関する「検討を指示されたことはなく」、さらに来春に出すのは準備書「中間報告」であるとも言い放ち、結局は問題の決着を事実上はアセス後に、そしてそのアセス自体の結論さえ、その先に更に先送りしようと画策していることが明らかになった交渉だった。

・7月28日 衆院農水委での自民党・宮腰議員の「アセスの結果が出る前に政治判断することがあるのか」との質問に、山田農相は「予算の概算要求などが終わったら、9月に長崎、佐賀、熊本、福岡を回ってみて、その時点で考えたい」とアセス終了前の9月判断を示唆。

・7月25日 鹿島沖(18日からの浜川観測塔や19日からの浜川沖など)で貧酸素水塊が拡大中。

・7月24日 諫早湾の干潟を守る諫早地区共同センターと諫早湾干拓開門調査を求める諫早市民の会が主催しての緊急集会「長崎県のデマ宣伝を斬る」 に300人の参加者。

・7月23日 菅内閣が、主な国関係訴訟60案件を内閣官房で一元管理する方針を決める。有明訴訟で開門を拒否し続ける国の対応に変化が出るかどうか、注視したい。

・7月23日 調整池南部水門周辺にワニ3匹出現。県は住民に注意を呼びかける看板を設置。捕獲前に排水と共に海域に流れ出る可能性も。県はアオコ水に触れないようにとの注意も喚起すべきではないか。

・7月22日 佐賀県と県議会、有明海沿岸6市町、県有明海漁協が共同で開催した「宝の海・有明海の再生を願う県民大会」に1000人が参加。

・7月20日 本ホームページに<諌早湾と防災>閉鎖保存版を掲載。これは布袋厚氏が1999年から2001年までの間、WEBサイトに公開していたホームページであり、氏独自の調査研究をもとに、諫干には市街地洪水防止機能がないこと、背後地湛水に対してもほとんど効果がなく、むしろ助長することが科学的データに基づいて解明されている。所詮、農水省は防災の素人にすぎなかったわけである。効き目がなくても「防災」を盾に「公共事業」の名の下に事業を推進し、今も開門に反対し続ける農水省官僚や長崎県の欺瞞は許されない。開門は、政府にこの有害無益な旧政権下の事業を見直して、農漁業の再生と効果のある防災対策に切り替える覚悟があるかどうかの試金石である。氏は背後地住民に真に役立つ防災のためには、諫干調整池の−1m管理を放棄し、佐賀県の防災対策に見習って排水ポンプ場の増強、公的機関による防災施設管理・堆積ガタ土の重機浚渫などの対策を実施するよう提言している。

・7月18日 5月から大浦沖でビゼンクラゲが大量発生してカニ漁の刺し網に混入するため、竹崎カニの水揚げが例年の3割程度に落ち込む。

・7月17日 赤潮被害、長崎・熊本・鹿児島3県で80万匹に。昨年の被害は208万匹、33億円だった。

・7月16日 湾内3漁協開門訴訟口頭弁論で、日本海洋学会・海洋環境問題委員の佐々木克之氏(元中央水産研究所室長)が「科学的なデータを見れば、干拓が原因であることは明らかだ」と証言。

・7月15日 長崎県口之津港で9日から出始めた養殖ハマチの赤潮被害が1600匹に。市や業者によると、島原半島東側の有明海の赤潮は、約15年前から毎年のように広範囲に発生しているという。

・7月14日 佐賀県水産振興センターの調査で、鹿島沖では4割のタイラギが斃死している調査地点のあることが判明。斃死率の高い地点は西海区研究所の貧酸素広域連続観測で11日まで溶存酸素の低下が見られた海域(沖神瀬西と浜川沖)であり、斃死の原因は貧酸素が原因と見られる。しかしセンターでは「タイラギは低塩分に弱く、雨の影響も考えられる」との見方を示したと報道されているが、もしこれが事実なら、タイラギが生息する海底でどの程度塩分濃度が下がったのか、データを示してほしいものである。

・7月13日 「諫早湾干拓開門調査を求める諫早市民の会」 が、開門を求める署名1万1685人分を 宮本市長に直接手渡す。市長は「政府にも要望しているが、諫干だけを原因とするのではなく、有明海全体の調査が必要。開門を前提とした議論はできない」 と述べたが、特措法に基づいて開門以外の再生策は何年も実施されてきたが効果はなく、環境省に設置された評価委でも有明海疲弊の一因は諫干と名指しされている事実をご存知ないのか。

・7月13日 山田農相が「いずれ長崎、佐賀、熊本など各県に出向いて話を聞いてみたい。環境影響評価(アセスメント)が前提」との考えを改めて示す。 制限的開門をしながらのアセスという提案はご存知ないのだろうか。官僚からの一方的なレクチャーを受けだだけでは、政治判断を誤ることになる。

・7月12日 有明海の貧酸素が大潮による攪拌で終息するも、潮受堤防前面では間歇的に貧酸素発生。

・7月11日 参院選長崎選挙区で、開門反対を公約に掲げた自民党の金子・前知事が当選し、開門賛成ながら県連に配慮して演説で主張できなかった民主党・犬塚議員落選。34万対27万票。また諫干問題に最も詳しく、鋭く当局を追い詰めていた仁比聡平議員も比例区で落選。

・7月11日 長崎新聞に諫干巡る県政批判の投書相次ぐ。

・7月8日 赤潮で有明海の広範囲が醤油色に着色し、佐賀南部海域では貧酸素、潮受堤防前面では排水の度に水温が上昇し溶存酸素は過飽和(=赤潮)の状態。調整池ではアオコも。なお各地の観測地点中、シャットネラアンティーカの細胞数最大は小長井港で、その後最大数観測地点は島原半島沿いに南下しつつ細胞数も減少に向かう。

・7月6日 熊本県沖の広範囲でシャットネラ赤潮。7月2日に佐賀県福岡県の有明海奥部、3日に南島原で発生が確認された赤潮が移流か。関係性は不明だが、6/25〜6/30には連日、南北両排水門から大量の排水が行われていた。八代海ではこの日までにブリやシマアジなど養殖魚5940匹が大量死し、有明海ではタイラギやアナゴが斃死。

・6月30日 5月23日に発生した湛水被害を受けて調整池水位の下限を−1.2mとする排水門管理規程の見直しを求めていた長崎県の要求に応え、国は6・7月に限って−1.2m以下にすることも可能な柔軟運用を認めたことが長崎新聞報道で明らかに。これを受けて6月17日には−1.35mまで水位を下げていたという。従来農水省は、高潮襲来時に調整池水位が低いと堤防設計上問題があるとして下限を−1.2mとし、短期開門調査時も下限を−1.2mに設定したのであるが、それには根拠がなかったことになる。、6・7月に高潮が襲来しないとは限らないのだから、農水省は設計上の内外水位差の本当の限界数値を明らかにすべきであるが、常時開門して調整池水位を潮汐に連動させて内外水位差を解消すれば、こうした問題は最初から生じなくなる。なお県は、瑞穂漁協に対し、南部水門は常時排水用、北部水門は洪水時排水用であると説明したらしいが、排水門管理規程上も、また排水実績上もそうした説明は事実に反しており、なぜ南部水門からの排水に偏重させているかの本当の理由を明らかにすべきである。平気で嘘を重ねる行政当局は、県民の信用を失うことになる。

・6月29日 小長井漁協の総会で、組合員から提出された開門を求める決議案の緊急動議が、「今は開門の時期ではない」とする新宮組合長の判断で、審議もされずに退けられる。同漁協では6割の組合員が開門を求める署名に応じており、組合員の声が組合運営に反映されていない実態が浮き彫りに。

・6月23日 長崎県主催の諫干地域説明会の最終回が島原市で行われ、各県からも漁民ネットメンバーが来場してアピール行動(写真チラシ)と傍聴。小長井漁協の松永原告団長は会見で、「公金でウソを宣伝している」と批判し、県に公開討論会の開催を求める。

・6月19・20日 長崎市と諫早市で開催された県主催の「諌早湾干拓事業地域説明会」で江刺教授が講演。質問をしようとした漁民ネット会員が退場させられたので、代わってこの場で公開の質問をしたい(「長崎県および江刺東北大名誉教授への質問」)。なお評価委報告(別添資料43・61)においても酸処理の生物や底質への影響は否定されている。江刺教授は、漁業者の生活が懸かる重要問題に政治的に利用されているだけであるのをご存じないのだろうか。科学者ならば、せめてノリ委や評価委の検討を踏まえつつ、推測ではなくデータによって自説を証明してみせてほしい。

・6月17日 就業中の市の職員が開門反対の署名集めを行った問題で、諫早市議会における田添議員(社民党)からの質問に対し、宮本市長が「少し配慮が足りなかった」と認める。

・6月16日 政府・与党検討委メンバーを務めた国会議員が山田農相と面会し、検討委の意向を尊重して開門に向けた具体策の検討を進めるよう要望。川崎稔参院議員は「参院選前の判断は難しいということだったが、開門という方向性については認識が共有できたのではないか」と語る。

・6月16日 自民党佐賀県連が参院選向けに作成したローカルマニフェストに、段階的開門から最終的に常時開門しての長期開門調査の実施を明記。

・6月16日 長崎県が、開門反対の県の立場に理解を求めるための地域説明会が始まる。県側は開門による悪影響を強調する一方、会場からの質問や意見を受け付ける時間は設けず、配布したアンケート用紙の提出を求めるだけという対応に批判の声。

・6月15日 山田大臣が、開門の判断時期について「時間的に口蹄疫の所要問題に追われていますので、間に合うかどうか非常に微妙なところ」 と述べて、参院選後に先送りを示唆。これでは今夏も赤潮と貧酸素で漁業者が泣かされることになる。今季漁獲しきれなかったタイラギも大量に生残しているのだが。なお山田大臣は昨年総選挙前には、新聞社のアンケートに開門賛成と回答して(朝日毎日)当選していた。

・6月14日 衆院本会議の代表質問での田中康夫議員からの質問に対し、菅首相は「まずは、山田大臣の検討結果内容を聞いてから」と答弁。

・6月12日 漁民ネットの第9回定期総会(写真右)が大和漁村センターで開かれ、農漁業共存可能な段階的開門の一日も早い実施を求める運動方針を確認。多数の議員から激励のメッセージが寄せられる。

・6月11日 諫早湾と橘湾、有明海周辺の長崎県内漁協の組合長で構成される南北高海区漁協組合長会(会長・新宮隆喜小長井町漁協組合長)が、開門賛成に転じた瑞穂漁協に対し、会議出席を拒否。考え方や方針の違いを理由に構成員の参加を認めないというのは、民主主義が未熟な証拠であり到底理解できない。ちなみに新宮組合長の小長井漁協も、組合員レベルでは開門賛成派が多数である。

・6月11日 瑞穂漁協が長崎県に対し、南部水門からに偏っている排水は南北両排水門から均等に行うよう要望。淡水をかぶってアサリが壊滅的被害を頻繁に受けているため。県によると、09年度は南部が110回(約2億100万トン)、北部が63回(約1億4200万トン)の淡水が排出されている。

・6月9日 長崎県が、16日から23日までの日程で県内6箇所で「諫早湾干拓事業地域説明会」を開催すると発表。参院選を前に金子陣営のための実質的な県営選挙活動の疑い。なお説明会で講演予定の江刺・東北大名誉教授は、酸処理剤原因説を持論としているが、「データによる論証がなく非科学的・短絡的な結論だ」との当方からの批判に対し、私信で「推定」にすぎなかったと認めていた。また水産庁もその後「ノリ養殖技術評価検討委員会」を設置して影響試験を行った結果、2003年に「冬期に使用される酸処理中の有機酸が夏期の貧酸素水塊生成の原因になるとは考えられず、…COD負荷に実質的に影響しているとは考えがたい」「赤潮発生の原因となっているとは考えられない」とする報告書をノリ第三者委に提出し、私見と同様の見解を示している。

・6月9日 山田新大臣が報道各社のインタビューに答え「簡単に長期の開門調査をしろ、とはいかない」、開門の是非を判断するのは、防災や干拓地内の農業に与える影響について「どの程度クリアできるかを見据えてから」、判断時期についても「参院選の前か後かも含めて、これから検討する」と述べる。開門の一日の遅れは、口蹄疫同様に多大な代償を伴うのだから、民主党がINDEX2009で示した農業等への対策工に即座に着手すべきだ。

・6月8日 副大臣から昇格した山田正彦新大臣が、就任会見で「赤松広隆前農相の意向をよく聞いてから、改めてどうするか考える」と述べる。政府与党検討委の方針に従い、また赤松前大臣が敷いたレールに乗って、山田大臣には地元の長崎県や党県連の開門反対論の誤解を解くために汗を流し、一日も早く開門を実現させるよう期待したい。

・6月7日 熊本県玉名市横島町の横島漁港広場で早期開門を求める荒尾・玉名地区漁民集会に7漁協150人が参加。

・6月4日 諫干事業批判の急先鋒・菅直人氏が国会で首班指名。赤松農相が口蹄疫問題を理由に再任辞退発言。

・6月4日 公害被害者総行動デー2日目。農水省前早朝宣伝行動(国会通信100号101号)、佐々木政務官への要請(写真左)、環境省前総括集会。佐々木政務官は、開門を前提としたアセスであると明言し,アセス途中での対策の必要性にも言及(発言録)。

・6月3日 原弁団・支援者が公害被害者総行動デーのため上京し、霞が関界隈でのパレード(写真)、農水省前アピール集会(写真右)、議員要請行動、日比谷公会堂での総決起集会(写真)に参加。

・6月2日 鳩山首相辞意表明。利権まみれ・環境破壊型公共事業依存体質の自民党政権を終焉させた功績は大きかったが、開門問題は一歩前進したものの未解決のままである。今後の行方は不透明だが、新内閣では是非とも開門を実現してほしいと願う。

・6月1日 赤松農相が閣議後会見で、「長崎県に説明して理解を求め、参院選までには方向を出したい」旨を述べる。

・6月1日 佐賀有明の会が参院選佐賀選挙区からの立候補予定者に即時開門を要望(報道)。

・5月31日 西日本新聞社が県民300人へのアンケートを実施し、開門賛成25.3%、反対28.7%に。1月調査の賛成32.7%、反対20.3%と逆の結果になったが、漁家の開門要求に対する農家の強硬な反対姿勢や対立構造ばかりが報道され、開門で農業継続が本当に不可能になると誤解した県民も多いのではないか。海に面した農地で立派に経営している農家は、他の有明海沿岸や全国各地でも少なくないが、それと同じ条件になるだけではないのか。

・5月28日 長崎県が開門には問題あるとするプロパガンダ文書を「県民だより」として全戸配布。

・5月28日 31日の赤松農相訪問が国会日程のため延期。また長崎県議会は開門反対決議を賛成多数で可決。「いきなり全開」を前提とした中長期開門調査検討会議でのシミュレーションを拠り所とした反対理由を繰り返すだけであり、農漁共存策=段階的開門に対する根拠ある反対理由は一切示されていない。そもそも中長期開門調査に反対して農水省に事業の完成を急がせ、今日の「諍い」の種を蒔いてきた責任は長崎県にもあるのではないか。また特措法による8年間もの漁業振興=エセ再生事業では効果がなかった事実に対する反省も見られない不当な決議であり、県側も農漁業共存の具体策を示すべきである。

・5月27日 長崎県が、国の行っている開門アセスを専門家に依頼して監視へ。住民向け冊子作成費を含む5196万円を補正予算に計上方針。アセス方法書では、1年間かけた現地調査データをもとに新しい有明海海況シミュレーションモデルを構築し直し、それによって開門が有明海に及ぼす変化をコンピュータ予測することになっているが、開門と有明海の変化の関係は、シミュレーションではなく実際に開門して調べるのが「開門調査」であり、シミュレーションモデル構築のための1年もかけた現地調査は不要である。いま実際に必要なのは、大雨時の調整池水位予測と必要ポンプ容量の確定、恒久的農業用水の具体的な手当策(今年や来年の夏に渇水が生じたときに備えるために、本明川下流からの輸送など、臨時的手当策は開門前に検討しておく必要がある)が、これらは短期開門調査時並の開門と同時並行で可能な作業であり、開門はそうした内容の「アセス」を待つ必要はない。また常時開門へ向けての洗堀巻き上げやゲート振動問題は、短期開門調査時における実測値(農水省は短期開門調査報告書に記載しなかったが、護床工縁辺部で秒速1.6mを超える流速も実測していたことが既に明らかになっている)を見ると、ばらつきが大きく、局所についてはとてもシミュレーションで正確に予測できるものではないから、実際に開門して調べる「実測アセス」を行うべきである。そのために捨石工での護床工の拡張やゲート部品の交換が必要と分かれば、常時開門前に対策を済ませばよいのであって、制限的開門であれば数日中にも実施に移すことは可能である。こうした提案について、県が委嘱する専門家の見解をお聞きしたいものである。





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諫早湾干拓の今(このページ)

諫干を巡る毎日の出来事をかいつまんで紹介し、時には筆者のコメントも加えて現在の情勢をお伝えします。ここに掲載した主な項目は、過去の出来事も含めて総合年表のページに蓄積していきます。

事業の概要と歴史

諫干とは、諫早湾1万ヘクタールの三分の一にあたる3550ヘクタールを海から遮断し、そこに農地と調整池を造成しようとする複式干拓事業。事業者である農水省は、その目的を「優良農地の造成」と「防災機能の強化」としています。また紆余曲折を経た本事業の歴史を、ここでは年表として整理していきます。

環境への影響(一部公開)

諫干によって、流入河川、調整池、諌早湾、有明海の環境がどのように変化したのかを、農水省だけでなく他の研究機関による調査データも掲載します。

農地造成(工事計画中)

平坦で広大な「優良農地」造成は、入植者・周辺農家・自治体財政などに、どういう影響をもたらしたのでしょうか。2533億円もの事業費や環境改変の社会的コストと見合うものだったのかをデータで見ていきます。

防災機能

洪水や背後地排水不良などに対する「防災機能」の実際の効果はどうだったのか、閉め切り前と後ではどういう被害軽減効果があったのかをデータで検証します。

各種委員会と司法判断(工事計画中)

今日まで、事業と漁業被害との因果関係をめぐる判断が、数多くの第三者委員会や裁判などの場で行われてきました。誰が当事者となり、何が争点となったのか、また誰がどのような判断をしたのかについても、記録として残していきます。

国会の動き(工事計画中)

国会でも、委員会質疑や質問主意書で取り上げられただけでなく、公共事業チェック議員の会や有明海沿岸選出の各党議員が問題の解決に向けた取り組みをしてきましたから、それらの記録を掲載していきます。

水門開放問題

閉め切り直後から求められてきた水門開放。2008年6月の佐賀地裁判決を機に、この問題が現下の焦点となっていますので、その経緯をご紹介します。

漁民ネット運動の記録(工事計画中)

「有明海漁民・市民ネットワーク」(通称:漁民ネット)は当初、有明海沿岸4県の漁業者600人、東京を中心に全国の市民・研究者・弁護士100人で2001年に設立されました(現在の会員数は750名)。これまでの主な活動をご紹介します。
 
リンクと参考文献
                                         上に戻る     次のページへ       
制作者:羽生洋三(有明海漁民・市民ネットワーク事務局 調査研究担当)  本ホームページの開設2009年7月29日(現在も未完)。
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