有明海漁民・市民ネットワーク(HP仮オープン中)

諫早湾開門要求総決起集会への連帯メッセージ


2018/3/31 農民 漁民 市民による
諫早湾開門要求総決起集会への連帯メッセージ

有明海漁民・市民ネットワーク 代 表 松藤 文豪
副代表 中田 猶喜
 同  前田 力 

 諫早湾の干拓農地に入植した農業者が、諫早湾干拓事業の問題性を公然と指摘し、「開門」を求めて立ち上がったことを心から歓迎し、その勇気ある行動に敬意を表します。

 私たち有明海の漁業者は、諫早湾干拓による潮受け堤防の閉め切りにより、深刻な漁業被害に見舞われています。潮受け堤防は、有明海の潮流・潮汐に大きな影響を与え、赤潮被害の拡大、底層の貧酸素化の原因となり、かつて「宝の海」とよばれていた有明海の漁船漁業、採貝、ノリ養殖などは、いままさに瀕死の状況にあります。

 私たちは、潮受け堤防の排水門を開放し、淡水化した調整池を汽水域に戻し、海水交換を回復する「開門」こそが、有明海再生の第一歩だと考え、一日も早い「開門」を訴えてきました。2010年12月の福岡高裁の判決により、「開門」は国の義務として確定しました。私たちは、もちろん、農業や周辺低平地の排水対策等の必要な手当てをした上での「開門」を求めてきました。今回、ついに干拓農地の入植者からも「開門」を求める声が出てきたことを、とても嬉しく思います。

 今回、立ち上がった農業者の話を聞き、干拓農地での農業が深刻な問題に直面していることを初めて知りました。調整池の水が農業用水として役に立たないこと、土壌改良がいまだに困難であること、調整池の水温低下によって干拓農地に「冷害」が発生していること。そして何よりも、農水省や長崎県の公社が、農業者の切実な声を聞こうとせず、干拓事業を推進してきたメンツを保つための「盾」として、農業者を開門阻止に駆り立ててきたことに驚くばかりです。農業者も諫早湾干拓の被害者であることがいよいよ明らかになりました。私たちは、怒りの声を上げた農業者の行動を強く支持します。

 私たち漁業者も、諫早湾の閉め切りによって深刻な漁業被害に直面し、あらためて「宝の海」有明海の大切さを学びました。農業者のみなさんも、干拓農業の難しさを痛感していることと思います。今こそ、諫早湾干拓事業の同じ被害者である農業者・漁業者が、力を合わせて「開門」を実現することで、自然の力を活かし、農業・漁業の共存による有明海沿岸地域の再生への第一歩を踏み出すことをよびかけます。
 ともに頑張りましょう。

以 上